高校時代に「姫」として扱われた当事者たちは、当時どのような心理状態にあり、その後の人生にどう影響したのでしょうか。卒業生の手記や取材証言から、光と影の両面を検証します。
「周囲の肯定感が自己肯定感の原点になった」肯定派の証言
都内有名私立男子校出身で、現在は広告代理店に勤務するAさん(28歳)は、当時の体験を次のように振り返っています。
「高1の文化祭で推薦されて女装コンテストで優勝して以来、先輩からも後輩からも『姫』と呼ばれるようになりました。最初はからかわれているのかと警戒しましたが、誰も悪意を持っておらず、体育祭でも文化祭でも常に中心で盛り上げてもらえた。『ありのままの自分で周囲を喜ばせることができる』という原体験は、社会人になった今でもプレゼンや対人交渉での大きな度胸になっています」
「共学の大学に進学した後の落差に戸惑った」葛藤派の証言
一方で、特殊なコミュニティのノリが解かれた後の環境適応に苦しんだケースも少なくありません。関西の名門男子校出身のBさん(25歳・大学院生)の手記には、リアルな苦悩が綴られています。
「高校時代は男子ばかりの環境で、多少ワガママを言っても『あいつだから許す』とチヤホヤされていました。しかし共学の大学に入学した途端、本物の女子学生がいる前で自分の立ち位置が完全に消滅しました。男子校特有の過保護な距離感に慣れすぎていたため、一般的な男女の適切な距離感や、自立した人間関係の構築に最初の2年間はひどく苦戦しました」
このように、男子校の姫というポジションは、本人の受け止め方や周囲との信頼関係の深さによって、強力な武器にもなれば一時的な適応障害の引き金にもなり得ることが分かります。