バーチャルYouTuberの世界において、転生前の配信実績やタレント活動歴を指す「前世」の特定は、ファンの間で格好のトピックとなりがちです。しかし、ホロライブ0期生として黎明期から活動するときのそらの中の人に関しては、他の人気タレントとは全く異なる様相を呈しています。
結論から述べると、ネット上で囁かれる「特定のアマチュア歌手や劇団員、元声優」といった噂はいずれも決定打に欠け、信憑性のある証拠は存在しません。初期のインタビューや本人の手記『ときのそら バーチャルアイドルやってます』(2019年刊行)などで語られている事実を紐解くと、彼女は既存の有名配信者からの転身ではなく、カバー株式会社の立ち上げ段階における「純粋なスカウト・オーディション枠」として参画したことが分かります。
当時、カバー株式会社の代表取締役CEOである谷郷元昭氏(YAGOO)が構想していた「VR技術を用いたバーチャルライブプラットフォーム」のデモタレントとして抜擢されたのが始まりでした。当時まだ市場が存在しなかったVTuberという未知の領域に対し、声楽やピアノの基礎を叩き込まれていた彼女が白羽の矢を立てられた形です。ネット上に目立った活動痕跡が残っていないのは、彼女がデジタル空間でのインフルエンサー活動を本業としていなかった「純粋な新星」であったことの証左といえます。