大田区の新田神社には、古くから語り継がれる「新田神社七不思議」が存在します。義興公を謀殺した江戸遠江守が落馬して狂死した事件を筆頭に、夜になると唸り声を上げて災厄を知らせたという「うなる狛犬」、境内に自生する竹が源氏の白旗のように見える「旗竹」、義興公の御塚に近づく者に祟りがあったとされる伝説など、かつての霊威を物語る逸話には事欠きません。
一方で、境内には自然の圧倒的な生命力と、現代の創造性が調和したユニークな見どころが共存しています。
社殿の左手にそびえる樹齢700年以上の欅(御神木)は、かつて落雷や第二次世界大戦の戦災に遭いながらも奇跡的に蘇生した生命力の象徴です。「触れると健康長寿や若返りのご利益を授かる」「病気平癒の祈りが届く」として、今も手をかざして祈りを捧げる参拝者が絶えません。
さらに境内を特徴づけているのが、2007年にスタートした「多摩川アートラインプロジェクト」による現代彫刻の数々です。グラフィックデザイナー・浅葉克己氏が手掛けた石の彫刻「LOVE神社」は、「ここで写真を撮ると恋愛が成就する」「良縁に恵まれる」とSNSで話題を呼び、若い世代やカップルの聖地となりました。すぐ隣には同じく石造りの「卓球台」が設置されており、厳粛な古社でありながら、誰もが親しめる開放的なコミュニティ空間として機能しています。