SNSや知恵袋、動画共有プラットフォーム上では多種多様な「接着剤剥がしの裏ワザ」が拡散されていますが、記者の取材と現場検証により、深刻な二次被害を引き起こす危険な誤情報が多数確認されています。
特に被害報告が多いのが、「プラスチック製のメガネやゲーム機に除光液を垂らしたら全体がドロドロに溶けて白濁した」という事例です。プラスチックの多くは石油由来の合成樹脂であり、有機溶剤であるアセトンに対して極めて脆弱です。接着剤を取りたい一心で綿棒に除光液をたっぷり浸して擦った結果、接着剤どころか製品表面そのものが溶融し、取り返しのつかない凹凸と曇りが発生してしまいます。
また、衣類に関して頻発するのが「軍手やティッシュで拭き取ろうとして火傷した」という事故です。日本接着剤工業会の技術資料によると、瞬間接着剤(シアノアクリレート)は綿や麻、紙などの繊維質に含まれるヒドロキシ基と急激に化学反応(重合反応)を起こし、短時間で100℃近い高温の発熱を生じます。付着した直後に布やティッシュで強く押さえると、急激な熱反応で火傷を負うばかりか、繊維が接着剤と一体化して焦げ付いてしまいます。液状の接着剤が手や衣服に垂れた直後は、慌てて繊維で拭き取らず、まずは冷水で冷やして反応熱を奪うことが鉄則です。