ネット上の掲示板や知恵袋などでは、「チンチロは親が圧倒的に有利なゲームである」という言説がまことしやかに語られます。しかし、確率論の観点から216通りの出目を精緻に分析すると、意外な数学的真実が浮かび上がります。
サイコロ3個を投げた際、1回の投擲で何らかの役(アタマが揃う、または特殊役)が成立する確率は108通り/216通り、すなわち正確に50.0%です。つまり、サイコロを投げた瞬間の半分は「目なし」となります。親には最大3回の投擲チャンスが与えられますが、3回連続で目なしに終わる確率は以下の数式で導き出されます。
0.5 × 0.5 × 0.5 = 0.125(12.5%)
すなわち、親であっても約8回に1回は1点も出せずに「目なし(等倍負け)」で親落ちする計算になります。さらに、即死役であるヒフミ(約2.78%)が3投のどこかで絡むリスクを考慮すると、親の勝率は決して絶対的なものではありません。
それにもかかわらず親が有利に感じられるのは、「親が先に振って役を確定させる」という心理的優位性に起因します。親が「出目6」や「シゴロ」を出した瞬間、子は極端なプレッシャーに晒され、実質的に引き分け以上を出すハードルが跳ね上がります。この「場の空気を支配する構造」こそが、チンチロが古くから勝負師たちを魅了してきた心理学的装置と言えます。
また、チンチロションベンの罰則についても誤解が多く見られます。「ションベンは無条件で掛け金の全額没収(または2倍払い)」とする厳罰ルールが知られていますが、本来の家庭用・宴席用ルールでは「その回の投擲権を1回消費し、投げ直しを認める」という温情措置をとる地域も少なくありません。器の大きさに対してサイコロを乱暴に放り投げない限り頻発するものではないため、初心者が萎縮しないよう事前に罰則の度合いを緩和しておく配慮が望まれます。