ナチュラルワインを口にした瞬間、多くの人が「これまでのワインの味とまったく違う」と驚きを口にします。工業化されたワインが均一でシルキーな舌触りや、計算され尽くしたオーク樽の香りをアピールするのに対し、ナチュールは「ブドウ果汁の純粋な生命力」や「昆布や鰹節を思わせる出汁(だし)のような旨味」が前面に現れます。
ワインは無濾過(ノンフィルター)・無清澄で瓶詰めされるケースが多く、グラスに注ぐとわずかに濁りを帯びています。瓶の中でも微生物や微量な酵母が活動を続けているため、愛好家からは「生きているワイン」と称されます。抜栓直後はやや還元的な香り(硫黄や土、マッチを擦ったようなニュアンス)が漂っていても、空気に触れて数十分が経過すると、見違えるように華やかな果実やハーブの香りが花開く変化のダイナミズムこそが、最大の醍醐味です。
このナチュラルワインシーンを強力に牽引してきた存在が、「オレンジワイン(スキンコンタクト)」です。白ブドウの果皮や種を取り除かずに、赤ワインと同じように果皮ごと発酵・醸し(マセラシオン)を行う醸造法で、美しい琥珀色と心地よいタンニン(渋み)、独特のハーブ香を宿します。ポリフェノールが豊富に含まれることで酸化に対する天然の耐性が高まり、酸化防止剤に頼らないナチュラルな造りと極めて相性が良いことから、世界的なトレンドへと定着しました。