五千円紙幣の津田梅子選定理由とは?歴代旧札の価値と自販機対応を検証

五千円紙幣の津田梅子選定理由とは?歴代旧札の価値と自販機対応を検証

五千円紙幣の津田梅子選定理由とは?歴代旧札の価値と自販機対応を検証についての疑問解決ガイドをご紹介します。

日本銀行券の肖像は、財務省設置法第4条に基づいて財務大臣が決定します。2019年4月の刷新発表当時、財務省および日本銀行が提示した選定基準は「明治以降の近現代において国民各層に広く知られ、世界に誇るべき業績を遺した人物」であり、かつ「偽造防止の観点から鮮明な写真や精緻な肖像画が入手できること」でした。

津田梅子が選ばれた最大の理由は、わずか満6歳で岩倉使節団の留学生として渡米し、帰国後に女子英学塾(現・津田塾大学)を創設して日本の近代女子高等教育の礎を築いたという揺るぎない歴史的功績にあります。一万円札の渋沢栄一が「近代日本の経済の父」、千円札の北里柴三郎が「近代日本医学の父」とされるなか、五千円札には「教育の近代化」という国家再建の柱が担わされました。前回の2004年発行券で樋口一葉が採用された流れを受け継ぎ、男女共同参画の象徴として女性文化人を継続して据える政策的意図も明確に反映されています。

選定発表時、母体である津田塾大学のキャンパスや同窓会組織「一般社団法人津田塾大学同窓会」には驚きと歓喜が広がりました。当時の学長会見や大学関係者の手記では、「創立者が国の顔として紙幣に刻まれることは、女性の自立と知性を重んじてきた本学の教育理念が公的に再評価された証である」と深い誇りが語られています。同大学小平キャンパスの資料館には津田梅子の遺品や肖像写真が保管されており、紙幣の原画作成に際して国立印刷局の工芸官へ高精細な資料提供が行われたことも公式アーカイブに記録されています。

さらに、裏面デザインに採用された尾形光琳筆の国宝『燕子花図(かきつばたず)屏風』の存在も見逃せません。初夏に凛として咲くカキツバタは、日本固有の伝統美を伝えるだけでなく、津田梅子が切り拓いた女性教育の清廉で力強い知性を象徴する意匠として絶妙な調和を見せています。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。