関俊彦の演技を語る上で最大の醍醐味といえるのが、「絶対的な光」と「圧倒的な闇」を自由自在に行き来する演じ分けの幅広さです。
『忍たま乱太郎』の土井半助(土井先生)は、忍術学園きっての常識人であり、手のかかる乱太郎・きり丸・しんべヱたちを深い愛情で包み込む存在。劇場版『ドクタケ忍者隊 最強の軍師』で描かれたシリアスな戦闘描写においても、根底にあるのは生徒や仲間への慈しみでした。その温もりある声は、聴く者に安心感を与える「光」の象徴です。
対照的に、『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨では、一切の慈悲や共感を拒絶する冷酷非情な怪物を熱演。部下を容赦なく切り捨てるパワハラ会議の緊迫感、美少年や妖艶な女性へ擬態した際の不気味さ、そして己の生存のためだけに世界を蹂躙する身勝手なエゴを、張り詰めた声音で見事に具現化しました。同一の声優が演じているとは信じがたいほどのコントラストこそ、関俊彦が「声の魔術師」と呼ばれる所以です。