インターネット上の自動車コミュニティには、旧来の常識に囚われた誤った言説が今なお跋扈しています。後悔しない購入を実現するためには、それらの神話を解体し、客観的なファクトに目を向けなければなりません。
誤解の筆頭が、「10万km=車の寿命」という昭和・平成初期の固定観念です。現代のエンジンは精密な加工技術と全合成油の進化により、定期的なオイル交換(5,000km〜1万kmごと)さえ実施されていれば、エンジンブロック本体は20万〜30万kmでも問題なく稼働します。問題はエンジン本体ではなく補機類やセンサー類であり、「走行距離の数字」だけで車体全体の寿命を断定するのは明らかなナンセンスです。
もうひとつの危険な誤解が、「車検残りが長い車はお得」という思い込みです。販売店が「車検2年付き」として販売している車両の中には、法定基準の最低限度(光軸や排ガス、ブレーキ制動力)だけをパスさせ、交換時期を迎えた劣悪なオイルや劣化タイヤをそのまま放置している「ペーパー車検車」が少なからず紛れ込んでいます。真に注視すべきは車検の残存期間ではなく、前オーナーがディーラーや認証工場で車検ごとに記録を残した「定期点検用整備記録簿(メンテナンスノート)」の有無です。