民法第99条第1項には、「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」と規定されています。この原則を「顕名主義(民法の代理における基本ルール)」と呼びます。
代理人がどれほど正当な代理権を持っていたとしても、契約を結ぶ相手方から見れば「目の前にいる人物が自分のために契約しているのか、それとも誰かの代理人として契約しているのか」が分からなければ、取引の安全が脅かされます。相手方に「誰と契約関係に入るのか」を認識させるために、民法は顕名を必須の要件として定めています。
なお、明示的に「私は〇〇の代理人です」と言葉や書面で示さなくても、周囲の状況や取引の経緯から、相手方が「本人のために代理として行動している」と知り得た場合(悪意または過失)は、例外的に有効な代理行為として認められます(民法第99条第2項)。