関係者の証言や当時の貴重な未公開エピソードから浮き彫りになるのは、横綱という頂点を極めた男がなぜ過酷な格闘技の世界へ突入したのかという真実だ。大相撲の歴史に名を残した英雄でありながら、現状に満足することなく新たな可能性へ挑み続けた裏には、並々ならぬ苦悩と純粋な闘争心が存在した。
横綱引退後、安泰な道を選ぶ選択肢もあった。しかし、曙太郎の胸中で燃えていたのは「挑戦者としてどこまで戦えるか」という純粋な衝動だったという。相撲界で培った誇りと、未知のルールに飛び込む恐怖。その狭間で揺れ動きながらも前に踏み出した覚悟こそが、波乱に満ちた格闘人生の原点となった。