物語において重要な鍵を握るゴールデンカムイの刺青囚人たち。その一人として原作コミックス第11巻(第108話〜第113話)にかけて登場するのが姉畑支遁です。表向きは動植物の生態を記録する温厚な学者風の男ですが、その本質は「森羅万象あらゆる動物と交わり、ひとつになりたい」という異常な執念に憑りつかれた危険人物でした。
名前の響きからも察せられる通り、姉畑支遁のモデル(元ネタ)となった実在の人物は、世界的な名著『シートン動物記』で知られる博物学者アーネスト・トンプソン・シートンです。作中で彼が口にする「私はシートン…あねはたしとんだ」という名乗りや、動物のスケッチを精緻に残すスタイルは、偉大な博物学者への強烈なオマージュ(かつ極めて悪意あるパロディ)として描かれています。
アイヌ文化における自然への敬意や神(カムイ)の概念を、自身の欲望のために都合よく解釈し、最終目的である「ヒグマとの合一」を目指して暴走していく姿は、読者に強烈なインパクトを与えました。