尾白川渓谷のハイキングコースは、散策レベルから本格登攀(とうはん)に近い難所までグラデーションが存在します。起点となるのは竹宇駒ヶ岳神社(ちかうこまがたけじんじゃ)の登山口です。ここから名物の吊り橋を渡ることで、渓谷探訪がスタートします。
最初のチェックポイントである千ヶ淵(せんがふち)は、駐車場から徒歩15分ほどで到達できる屈指の水遊びスポットです。水深のあるエメラルドグリーンの滝壺と浅瀬が広がり、景観を楽しむだけなら一般的な運動靴でアプローチできます。
しかし、千ヶ淵の分岐を越えて神蛇滝(じんじゃだき)や不動滝へ向かう「渓谷道」へ入った瞬間、ルートの性質は観光散策から険しい山岳トレッキングへと一変します。崖沿いに設置された幅数十センチの木道、急傾斜の鎖場、湿った花崗岩の段差が連続し、通過には細心の注意を要します。復路には滑落リスクの高い渓谷道を避け、傾斜はきついものの足場が安定している尾根道(おねみち)を選択するのが安全管理上の鉄則です。