店先に掲げられた木札のメニュー表には、大豆文化の粋を集めた品々が並びます。初めて訪れる旅行者はもちろん、玄人リピーターにも愛される代表的な献立の特徴と、その楽しみ方を掘り下げます。
看板中の看板として君臨するのが「ゆし豆腐セット」です。サイズは「特大」「大」「中」「小」の4段階が用意され、約500円から700円前後という極めて良心的な価格設定が維持されています。丼いっぱいに注がれた出来立てのゆし豆腐に、ご飯、味噌汁(または濃厚な温豆乳)、おから、そして香の物が添えられます。
一方で、朝の胃袋にやさしさを求める層から絶大な支持を得ているのが「お年寄りセット」です。かつて地元のおじぃ・おばぁのために考案されたこのセットは、消化の良いゆし豆腐におかゆ(または軟飯)と小鉢が組み合わされており、前夜に泡盛や石垣牛ステーキを楽しんだ旅行者の疲れた身体にも心地よく染み渡ります。その普遍的な優しさから、若い世代の注文も少なくありません。
さらに、少し変化球を楽しみたい人向けには、以下のような多彩な展開が用意されています。
- ぶっかけ豆腐:ゆし豆腐の上に風味豊かな麻婆餡やカレー餡、あるいはピリ辛の挽肉ダレをかけた創作系。大豆の甘みとスパイシーな調味が驚くほどの調和を見せます。
- ゆし豆腐そば:沖縄そばの出汁にたっぷりのゆし豆腐を浮かべた一杯。八重山そば特有の丸麺とふわりと崩れる豆腐の食感の対比が秀逸です。
- トッピング:生卵や納豆、塩辛などを追加し、途中で「味変」しながら好みの味わいを組み立てるのが常連の流儀です。
卓上に用意された調味料も見逃せません。まずは何も加えずそのままの大豆の風味を味わい、二口目からは石垣の海塩、八重山特有のピパーツ(島コショウ)、旨味の効いた自家製味噌、そして島唐辛子を泡盛に漬け込んだコーレーグースを数滴垂らすことで、一杯の丼の中で幾重もの表情を楽しむことができます。