本作を語る上で絶対に切り離せないのが、両A面シングルとして同時に世へ放たれた『ポッピンアパシー』との関係です。この2曲は、同一のテーマを「陽(躁)」と「陰(鬱)」という真逆のベクトルから出力した、コインの表と裏のような関係性にあります。
『MAD HEAD LOVE』が生々しいバンドサウンドと狂騒的なハイテンション(躁状態)で他者との衝突を描いているのに対し、『ポッピンアパシー』は無機質なエレクトロサウンドを基調とし、他者との関わりを拒絶して自室に引きこもる無気力(アパシー/鬱状態)を綴っています。どちらも2014年発売の名盤米津玄師 アルバム YANKEEに収録されましたが、この二連作は人間が抱える精神の振れ幅を克明に記録したドキュメントでもありました。
外に向かって暴発する感情と、内側へと冷たく沈降していく虚無感。一人の人間の中に同居するアンビバレントな精神構造を可視化させた点に、当時の米津玄師が抱いていた表現者としての凄まじい執念が垣間見えます。