歴史を巻き戻してみよう。1970年代から80年代にかけて、独自のアイデンティティを示すために生まれた特攻服。背中に刻まれた漢字の乱立や鳳凰・龍の意匠は、仲間への忠誠心と自己主張の塊だった。当時のアパレル刺繍産業にとっても、これほど高密度で重厚な刺繍を求めるクライアントは他に存在しなかった。
時代が下るにつれ、表現の場は変容する。音楽シーンにおいては、ロックバンドの氣志團が特攻服をスタイリッシュなステージ衣装として再解釈し、エンターテインメントの表舞台へと引き上げた。また、昭和や平成のヤンキー・不良映画で描かれた熱量溢れるスタイルは、単なるサブカルチャーを超えて日本独自のストリート・ヴィンテージとして認知されるようになる。過激なアングラ衣装から、職人の技巧が集約されたテキスタイルアートへ。その変化の軌跡は極めて劇的だ。