事件の舞台となったのは、JR五反田駅から徒歩数分、目黒川沿いに位置する約600坪(約2,000平方メートル)の一等地にあった老舗旅館「海喜館(かいきかん)」です。周辺の再開発が進む都心部において、市場価値が100億円とも囁かれた超優良物件でした。
積水ハウスのマンション事業部は、この土地に分譲マンションを建設する計画を立案し、ブローカーを介して持ち込まれた売買話に飛びつきました。売買契約額は約63億円。手付金や中間金を含め、最終的に55億5000万円が地面師グループが開設した偽口座へと支払われました。
地面師グループの構成は極めて役割分担が明確化されていました。全体の絵を描く主犯格のカミンスカス操(旧姓・小山操)、手配師として暗躍した内田マイク、土地情報を持ち込んだブローカーら、そして本物の地主になりすました元看護師の羽毛田正美(はけた まさみ)など、複数の犯罪スペシャリストが網の目のように連携していました。