ネットの掲示板やSNSでは、「サンデーサイレンス産駒は気性が悪く、扱いづらい馬ばかりだった」というイメージが定型句のように語られることがあります。しかし、当時の調教師や厩務員の証言を検証すると、この解釈には大きな誤解が含まれていることが分かります。
社台ファーム代表の吉田照哉氏や当時の育成関係者が語るサンデーサイレンスの本質は、「凶暴」ではなく「研ぎ澄まされた極限の集中力と闘争心」でした。サンデーサイレンス自身、幼少期にウイルス感染症(猫腸炎)やトラック横転事故といった生死の境を生き延びた経歴を持ち、生命力と自己防衛本能が異常なまでに発達していました。
産駒たちが見せた「パドックでの入れ込み」や「返し馬での前進気勢」は、競走に向かうためのスイッチが敏感に入りすぎるがゆえの挙動であり、レース中の勝負どころで他馬をねじ伏せる圧倒的な勝負根性の源泉となっていました。ステイゴールドのようにレース中に隣の馬に噛みつきにいくような極端な例もありましたが、それを単なる悪癖ではなく「前に出ようとする執念」へと昇華させた調教技術こそが、日本競馬のレベルを世界水準へと引き上げた真因と言えます。