チック症は、精神医学の診断基準(DSM-5)において「神経発達症群(発達障害)」に分類される疾患です。本人の意思とは無関係に、筋肉の素早い収縮や発声が繰り返されます。
症状は大きく「運動チック」と「音声チック」の2つに分類され、さらに単純性と複雑性に分かれます。
- 単純運動チック:まばたき、顔をしかめる、首をすくめる・振る、肩を上下させるなど。
- 複雑運動チック:他人の動作を真似る(反響動作)、物に触れる、飛び跳ねる、特定のジェスチャーを繰り返すなど。
- 単純音声チック:咳払い、鼻を鳴らす、喉を鳴らす、「あっ」「うっ」といった短い発声など。
- 複雑音声チック:特定の単語やフレーズを繰り返す、他人の言葉をオウム返しする(反響言語)、卑猥な言葉や罵倒語を意図せず口にしてしまう(汚言症・コプロラリア)など。
医学的には、「多彩な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上にわたり持続する」場合、「トゥレット症候群(トゥレット障害)」と診断されます。
日本小児神経学会などの臨床データによると、小児期(4〜11歳頃)におけるチックの出現率は10〜20%程度と決して珍しくありません。多くは成長とともに軽快・消失しますが、成人期まで症状が残るケースも一定割合(約1,000人に数人程度)存在します。発症には大脳基底核を中心とするドーパミン神経回路の機能異常が関与しているとされ、本人の性格や親のしつけとは無関係であることが科学的に立証されています。