反町隆史演じる冠城亘の卒業が発表されたのは、2021年11月下旬のことでした。当初、一部メディアやネット上では「マンネリ打破のための交代」「制作サイドとの方向性の相違」といった憶測も飛び交いましたが、実際の降板理由は極めて前向きで自律的な決断によるものでした。
最大の決め手となったのは、反町隆史自身の「俳優としてのキャリア設計と年齢の節目」です。反町は2015年に41歳で冠城亘役に就任し、演じ続ける中で「40代のすべてを『相棒』に捧げる」という覚悟を持って現場に臨んでいました。撮影スケジュールは毎年7カ月以上にも及び、拘束時間の長さは他作品への出演を大きく制限します。50代という新たなステージを目前に控え、一人の表現者として次のステップへ挑むため、自ら水谷豊と制作陣に卒業の意向を申し出たことが公式インタビューや関係者の証言で明かされています。
もう一つの決定打は、「歴代相棒の最多出演記録(138話)の達成」でした。初代・亀山薫(寺脇康文)が保持していた当時の連続出演記録(124話)を塗り替えた『season20』の第11話をもって、反町は一つの大きな金字塔を打ち立てました。役を完全に自分のものにし、作品への貢献を果たし切ったという達成感が、最高潮のタイミングでの「美しい引き際」を選択させました。