フローリングやカーペットにペタッとお尻を密着させ、前足だけで移動する「お尻歩き(お尻スリスリ)」。一見するとコミカルな動きに見えますが、獣医臨床の現場では「肛門嚢の充満・違和感の明確なアピール」として診断されます。
犬の肛門の左右には「肛門嚢(こうもんのう)」と呼ばれる一対の袋があり、特有の強い臭気を持つ分泌液(肛門腺液)を蓄えています。野生時代はマーキングや縄張りの主張、排便時の潤滑油として自然に排出されていましたが、現代の室内飼育下にある愛犬、特に筋力の弱い小型犬や高齢犬は自力排出が難しくなっています。
お尻歩き以外にも、以下のようなサインが現れたら分泌物が限界近くまで溜まっている可能性を疑う必要があります。
- しっぽの付け根や肛門周りを執拗に舐める・噛もうとする
- 自分のしっぽを追いかけてグルグルと激しく回り続ける
- 普段と違い、お尻周りを触られることを極端に嫌がり唸る
- 部屋の中や愛犬の体から、独特の魚が腐敗したような生臭い異臭が漂う
- 排便時にいきむ時間が長くなり、どこか痛そうに鳴く