物語のバックボーンにあるのは、実在する名門・株式会社ふくやの創業歴史そのものである。店主が試行錯誤の末に生み出した明太子のレシピを、意匠権も特許も取得せず、地域の同業他社に惜しげもなく教え伝えたという実話は、今なお博多の街で語り継がれる美談だ。自分だけの利益を追わず、街全体の繁栄を願う「博多の心」がそこには息づいている。
さらに、この作品の背景を語る上で欠かせないのが、博多の夏を彩る熱狂の祭典「博多祇園山笠」の存在だ。山笠にかける男たちの熱き血潮と、それを影で支える女たちの絆。祭りを通じて育まれる地域コミュニティの結びつきが、作品全体に漲る圧倒的な生命力の源泉となっている。