日本マット界に激震が走ったあの日、多くの関係者が目を疑った。極めの強さでフェザー級を恐怖に陥れていたクレベル・コイケに対し、金原が見せたのは完璧なポジショニングによる「封殺」だった。相手の土俵であるはずの寝技勝負を真正面から受け止め、ブラジリアン柔術の猛者をグラウンドで完全にコントロールし続けた15分間。それは単なる勝利ではなく、技術体系の衝突における歴史的なマイルストーンとなった。
相手の引き込みを警戒しつつ、パスガードのプレッシャーをかけ続ける。腕を狙われればミリ単位で角度をずらし、首を狙われれば的確なフレームを作ってスペースを消す。力でねじ伏せるのではなく、相手が繰り出す手札のすべてを一手先で封じ込めるチェスのような攻防。観客はその異様な緊張感に息を呑み、総合格闘技におけるグラップリングの真髄を目の当たりにした。