ドライバーや施設管理者が最も留意すべき点は、救急車は一般的な立体駐車場や地下駐車場には入れないという物理的な限界です。
商業施設やマンションに設置されている自走式立体駐車場や地下駐車場の高さ制限は、建築基準やコストの観点から「2.1m」または「2.2m」に設定されているケースが圧倒的多数を占めます。全高約2.5mの救急車が進入を試みれば、ルーフや赤色灯が桁や梁に激突し、深刻な破損事故につながるため進入は不可能です。
道路上の高架下やアンダーパスを通過する際も同様です。都市部や古い鉄道高架下には「桁下制限2.3m」「2.4m」といった道路標識が存在します。救急隊は出動指令を受けた際、管轄エリア内の車高制限箇所や迂回ルートを瞬時に判断して運行しています。万が一にも救急搬送中に高架下へ誤進入すれば、患者の生命に直結するタイムロスを生むため、ルート選定における車高管理は極めて厳格に行われています。
大型商業施設やタワーマンションで救急要請があった場合、救急車が地下駐車場へ入らず屋外のエントランスロータリーや防災センター前の荷捌き場に停車するのは、この高さ制限が直接的な理由です。