1990年代に入ると、彼女はさらなる覚醒を遂げる。TBSテレビ系で放送された『ずっとあなたが好きだった』である。息子・冬彦(佐野史郎)を異常なまでの執着で愛し、嫁を追い詰める姑・悦子役は、日本中に社会現象を巻き起こした。
単なる意地悪な姑ではない。どこまでも品位を保ちながら、冷徹な微笑みの裏に狂気を滲ませるその演技は、従来のサスペンスドラマやホームドラマの枠組みを根底から覆した。脚本の意図を汲み取りつつ、アドリブを交えて極限までキャラクターを研ぎ澄ませる職人技。お茶の間は毎週金曜の夜、恐怖と笑いの狭間で彼女の一挙手一投足に息を呑んだ。