展覧会を観進めるうちに浮かび上がってくるのは、サンリオという企業が持ち続けてきた異次元のブランディング哲学だ。通常、世界的なIP(知的財産)は厳格なマニュアルによってイメージの固定化を図る。しかし、キティは違った。時代のトレンドに合わせて体型や色合い、時にはタッチまで柔軟に変容させてきた。
口を描かないことで、見る人の感情(嬉しい時には嬉しそうに、悲しい時には寄り添うように)を映し出す鏡となった彼女は、どんなデザインやコンセプトとも喧嘩しない。どんな姿に変身しても軸がぶれない圧倒的な「空容器」としての強さ。変化を拒むのではなく、変化そのものを味方につけてきた50年の歴史の深みが、展示パネルの行間から静かに伝わってくる。