多くの映画ファンが彼の名を目に刻んだ瞬間がある。映画『キングダム』で見せた暗躍と、どこか不穏な狂気を孕んだ佇まいだ。歌舞伎の舞台裏で培われた精密な動作制御と、カメラが捉える一瞬の視線劇。この二つが融合したとき、彼はスクリーン上で圧倒的な異彩を放つ怪優へと昇華した。
彼の舞台裏でのアプローチはきわめてストイックだ。役の背景にある感情の澱みを徹底的に解剖し、体の各部位への力加減まで計算し尽くす。歌舞伎の古典演目で養われた美学が、実写映画のリアリズムと激しく衝突し、他者を圧倒する鬼迫の演技力を生み出しているのだ。その裏には、役柄と一線を超えて同化するような覚悟が隠されている。