この日の主役は間違いなく、今秋のプロ野球ドラフト会議で目玉と評される超高校級のエースだった。これまでの省エネ投球とは打って変わり、この試合では立ち上がりからギアを全開に上げた。自己最速を更新する156キロのストレートが、キャッチャーミットに爆音を立てて吸い込まれていく。直球の走りはもちろん、勝負所で解禁した新魔球・高速スプリットのキレは圧巻の一言だ。
「これまではチームを勝たせる投球を意識していたが、今日は1球1球に魂を込めた」。試合後のヒーローインタビューで、彼は汗を拭いながらそう語った。スカウト陣の手元のスピードガンが跳ね上がるたび、スタンドからはどよめきが巻き起こる。スカウトの一人は「高校生離れしたスタミナとマウンドさばき。すでにプロの主力級のボールだ」と絶賛の言葉を惜しまない。