しじみの砂抜きで真水はNg?1%塩水とお湯の裏ワザと旨味倍増法

しじみの砂抜きで真水はNg?1%塩水とお湯の裏ワザと旨味倍増法

しじみの砂抜きで真水はNg?1%塩水とお湯の裏ワザと旨味倍増法の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

しじみの砂抜きにおいて、長年まことしやかに信じられてきた「しじみ=淡水魚と同じだから真水で良い」という認識は、現代の食品科学や水産現場の知見から見ると明らかな盲点を含んでいます。現在、日本の流通市場やスーパーの鮮魚売り場に並ぶ生鮮しじみのうち、およそ99%以上を占めているのは「ヤマトシジミ(Corbicula japonica)」と呼ばれる種です。

島根県の宍道湖や青森県の十三湖などに代表されるように、ヤマトシジミ汽水生息環境は海水と淡水が絶妙に混ざり合う汽水域です。彼らは塩分濃度が0.3〜1.5%前後の環境で代謝を行っており、細胞内の浸透圧もその塩分バランスに適応しています。ここで生じるのが、しじみ砂抜き真水と塩水の違いです。水道水などの完全な真水に浸けられたヤマトシジミは、急激な浸透圧の変化による生体ストレスを受け、身を守るために殻を硬く閉ざしてしまうか、浸透圧調整にエネルギーを消耗して弱り果ててしまいます。

一方で、水1リットルに対して食塩10g(小さじ2杯程度)を溶かしたしじみ砂抜き塩水濃度1パーセントの環境を用意すると、しじみは自らが生まれ育った汽水湖の底泥にいるかのような安心感を得ます。リラックスした個体は入水管と出水管を力強く伸ばし、体内に吸い込んだ微細な砂や老廃物を自発的に吐き出します。あさりの砂抜きで用いられる海水同等の約3%食塩水ではしじみにとって濃すぎて殻を閉じてしまいますが、この「1%」という絶妙な汽水濃度こそが、貝に負担をかけずに完璧な砂抜きを完遂させる決定打となります。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。