枕のケアにおいて最初に行うべき決定的なステップは、洗濯機へ運ぶことではなく、側面に縫い付けられている枕の洗濯表示の見分け方を正確に把握することです。2016年に国際規格(ISO)へ整合された現行のJIS洗濯絵表示では、家庭洗濯の可否が記号の輪郭によって明確に区分されています。
水が入った「洗濯桶」のマークが描かれていれば水洗い可能のサインです。桶の中に数字が書かれている場合は液温の上限(「40」であれば40℃以下)を示し、桶の下に一本線や二本線の下線が引かれている場合は「弱い洗濯処理」を意味します。一方で、洗濯桶に大きく「×」が重なっている記号がある製品は、いかなる家庭洗濯(洗濯機・手洗いを問わず)も禁止されています。
洗濯表示タグが摩耗して読めない場合や切り取ってしまった場合は、枕の中材を指先で確認し、以下の原則に従ってトリアージ(選別)を行わなければなりません。
- 洗濯機・手洗いが可能な素材:パイプ(プラスチック製)、ポリエステルわた(手洗い推奨または洗濯機可)、一部のウォッシャブル羽毛。
- 水洗いが完全にNGな素材:低反発・高反発ウレタンフォーム、ラテックス、極小マイクロビーズ、そばがら、もみ殻。
特にウレタンフォームは、水に濡れた瞬間に分子結合が弱まる「加水分解」を起こし、水分を含んだ自重だけで内部からボロボロに崩壊します。また、そばがらは内部に水分が残ると数日で穀物害虫(チャタテムシ等)の温床となり、衛生面で取り返しのつかない事態を招きます。素材の特性を無視した丸洗いは、清潔を手に入れるどころか枕の寿命をその場で終わらせる行為に他なりません。