カピバラを語る上で欠かせないのが、ベネズエラ・ボリバル共和国における存在感だ。現地ではカピバラは「チグイレ(Chigüire)」という名称で呼ばれ、国の伝統料理に欠かせない食材として君臨している。とりわけ大平野地帯(リャノ)では、古くからチグイレ(Chigüire)の乾燥塩蔵肉を用いた「ピサillo(Pisillo de chigüire)」と呼ばれる郷土料理が親しまれてきた。
干し肉のように塩漬けにして乾燥させた肉を細かくほぐし、ニンニク、タマネギ、トマト、ピーマンとともに香ばしく炒め合わせる。これを米やプラタノ(調理用バナナ)に添えて食べるのが現地流だ。噛めば噛むほど凝縮された旨味が溢れ出し、地元の酒「ラム」やビールとの相性も抜群である。単なる珍味を超えた、生活に深く根差した食のソウルフードと言えるだろう。