実写映画『いぬやしき』の評判はひどい?原作との違いとCgの真実

実写映画『いぬやしき』の評判はひどい?原作との違いとCgの真実

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映画『いぬやしき』に対するインターネット上の評価を精査すると、大手映画レビューサイトの平均スコアは5点満点中3.6〜3.8点前後を推移しています。これは邦画マンガ実写化作品としては極めて良好な部類に入り、決して「駄作」のレッテルを貼られるような数値ではありません。それにもかかわらず「ひどい」というネガティブワードが独り歩きしている背景には、本作特有の3つの構造的要因が存在します。

第1の要因は、佐藤健が演じる大量殺人鬼・獅子神皓による無差別殺傷シーンの徹底的な生々しさです。一般家庭に侵入し、無関係な親子や主婦を指先からの見えない弾丸で射殺していく一連のシークエンスは、PG12指定の範囲内とはいえ精神をえぐる凄惨さを極めました。SNSや掲示板では「胸糞が悪すぎて途中で観るのをやめた」「トラウマになった」という悲鳴が相次ぎ、この不快感や精神的負荷が「ひどい」という言葉に置き換わって拡散された経緯があります。

第2の要因は、原作単行本全10巻に及ぶ重厚な物語を約127分の劇場尺に圧縮したことによるエピソードの間引きです。特に犬屋敷が自らの機械の力で人命救助を重ねる過程や、暴力団事務所に乗り込んで悪党を制裁する通称「ヤクザ編」の描写が大幅に短縮・再構成されました。原作を深く愛する読者層から「ストーリー展開がダイジェスト気味で感情移入が追いつかない」という不満が噴出したことは否定できません。

第3の要因は、クライマックスの舞台装置の改変です。原作の地球規模のカタストロフィ(巨大隕石衝突)を回避する結末から、映画版では「新宿上空での犬屋敷対獅子神の直接対決」に焦点を絞り、物語をローカルかつ濃密に決着させる構成へとシフトしました。この変更が「スケールダウンした」と受け取られた一方で、新宿上空を立体機動で飛び交う高速空中戦のアクション純度は劇的に跳ね上がっており、映画的カタルシスとしては大成功を収めています。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。