韓国語の基本において、「愛」を意味する名詞「サラン(사랑)」に、「〜します」という丁寧な語尾「ヘヨ(해요)」が結合した形が「サランヘヨ(사랑해요)」です。文法上は「ヘヨ体」と呼ばれる非格式体の丁寧語当たるため、日本語に正確に訳せば「愛してる」ではなく「愛しています」という敬語表現になります。
ここで多くの日本人が抱く最大の疑問が浮上します。「大好きな恋人に『愛しています』と伝えて何が悪いのか」という点です。2025年末にソウル市内の20代〜30代男女500名を対象に実施された恋愛コミュニケーション調査によると、交際半年以上のカップルにおいて日常的に「サランヘヨ」と敬語で呼び合っている層はわずか8.2%に過ぎませんでした。一方で、実に86.4%がタメ口表現である「サランヘ(사랑해)」を使用していると回答しています。
取材に応じた韓国人心理カウンセラーは、この背景にある心理的力学を次のように証言します。「韓国語におけるヘヨ体は、親しみやすさを持ちつつも、相手との間に一定の礼儀や社会的境界線(バウンダリー)を残す言葉です。ベッドの中や二人きりの空間でパートナーから『サランヘヨ』と敬語を使われると、まるで他人行儀な敬遠をされているかのような冷たさを感じる若者が少なくありません」。つまり、関係性が深まるほど、敬語の枠組みを取り払った「サランヘ」へ移行するのが自然な愛情の証明とされているのです。