都営大江戸線新宿駅を利用した誰もが感じる「深すぎる」という実感は、決して大げさな錯覚ではありません。東京都交通局の公式資料によると、都営大江戸線新宿駅のホーム位置は地下7階、地表からの深さは約28〜30メートルに達します。これはビルに換算するとおよそ8〜9階建てに相当し、同じ大江戸線の六本木駅(地下7階・深さ42.3メートル)には及ばないものの、首都圏の地下鉄網全体で見ても屈指の大深度駅です。
なぜこれほどまでの深海構造にならざるを得なかったのか。その背景には、東京の高度経済成長と地下空間開発の歴史が深く関係しています。
大江戸線(環状部)の新宿周辺区間が開業したのは2000年12月。すでに新宿の地下には、昭和期に建設された東京メトロ丸ノ内線(地下2階)、新宿西口地下広場、小田急百貨店やルミネ直結の地下街、さらには京王線や小田急線の鉄道施設が幾重にも張り巡らされていました。加えて、甲州街道の地下には1980年代に開通した都営新宿線・京王新線のホームがすでに地下5階部分を占拠し、その周囲には首都高速4号新宿線の基礎杭や電話・ガス・水道などを一括管理する共同溝が埋設されていたのです。
後発路線として都心環状ルートを通すためには、これらの既存インフラをすべて下から潜り抜ける(アンダーピニング工法)以外に選択肢がありませんでした。結果として、京王新線・都営新宿線の直下を直交するように掘削されたため、ホームが地下7階という極限の深さに配置されることになったのです。