地元住民の間では「学生でいつも賑わっていたのに、なぜ採算が合わなかったのか」「家賃トラブルでもあったのではないか」といった様々な憶測が飛び交いました。しかし、商業施設の不動産管理関係者および外食産業アナリストの見立てによれば、閉店に至った主因は日本マクドナルドホールディングスが推し進めた全国的な大規模スクラップ&ビルド戦略と、店舗設備の老朽化にあります。
当時、日本マクドナルドはブランド再生計画の一環として、全国で130店舗を超える戦略的閉鎖を実施しました。その選定基準となったのが、以下の3点です。
- 厨房設備の近代化・客席拡張が物理的に困難な中小型物件
- 駅を挟んだ同一商圏内(東口店)における自社競合(カニバリゼーション)の解消
- 定期建物賃貸借契約の満了時期と、大規模改修投資の費用対効果
湘南台西口店は、利便性の高い駅前ロータリー至近のビル1階に位置していたものの、フロア面積に制約があり、近年のマクドナルドが標準仕様とする「ゆとりのある客席配置」「最新の厨房オペレーションシステム(メイド・フォー・ユーの拡張版)」を導入するには限界がありました。さらに、ビルの契約更新時期を迎え、多額の改装費用を投じて店舗を維持するよりも、東口駅前店へ営業資源を一本化する統合戦略が経営判断として下されたのが実態です。決して単独店舗の客足が途絶えたわけではなく、チェーン全体のポートフォリオ最適化の波に呑まれた結果といえます。