ジョン・F・ケネディ・ジュニアの人生を語る上で欠かせないのが、1996年に極秘結婚した妻キャロリン・ベセット=ケネディの存在です。カルバン・クラインのカリスマ広報として活躍し、その抜群のファッションセンスと知的な美貌で知られた彼女は、瞬く間に「現代のジャクリーン」としてメディアの寵児となりました。
ジョージア州カンバーランド島の小さな礼拝堂で、わずか40人ほどの親族・友人のみを招いて行われた蝋燭の光に包まれた結婚式は、世紀のロマンスとして語り継がれています。しかし、その甘い新婚生活は、容赦のないパパラッチの暴風雨によって早々に破壊されていきました。マンハッタン・トライベッカのアパートメントを取り囲む数十人のカメラマン、日々の買い物や愛犬の散歩にすら群がるフラッシュの群れは、民間人出身だったキャロリンの精神を深刻なまでに削り取っていきました。
公の場に出ることを次第に拒み、自宅に引きこもるようになったキャロリンと、生まれながらにしてスポットライトを浴びることに慣れていたジョンとの間には、次第に深い亀裂が生じるようになります。セントラルパークで二人が激しく口論する姿が盗撮され、タブロイド紙の一面を飾った事件は全米に衝撃を与えました。夫妻は関係修復のためカップルセラピーに通うなど懸命の努力を重ねていましたが、事故当日のフライトも、キャロリンが同行を決めるまでに長時間の逡巡があったことが親しい友人らの回顧録で明かされています。過熱するマスメディアの追跡劇が、夫妻の正常な判断力を奪う間接的なプレッシャーとなっていた現実は否めません。