Webメディアや住宅情報サイトでは、「覚王山や本山のヴィンテージマンションを買ってリノベすれば、将来的な資産価値も落ちず賢い選択になる」という論調が目立ちます。しかし、現場の取材を重ねると、この言説には重大な死角が存在することが分かります。
第1の盲点は、修繕積立金と管理費の急激な上昇です。千種区の好立地に佇む築40年超の物件は、総戸数が20〜30戸程度の小規模コミュニティであることが少なくありません。戸数が少ないマンションでエレベーターの更新や大規模修繕が重なると、1戸あたりの修繕積立金が月額3万円〜5万円以上に跳ね上がるケースがあります。リノベーション費用を抑えられても、毎月の固定費が家計を圧迫しては本末転倒です。
第2の誤解は、「リノベ済み再販物件(買取再販)は割高だから、自分で中古を買ってリノベした方が絶対にお得」という思い込みです。不動産業者が買い取ってリノベした再販物件は、建材の一括仕入れや自社施工により、個人が単品でリノベするよりも工事原価を大幅に抑えている場合があります。専有部分のインフラ(配管)までしっかり手が入っている良質な再販物件であれば、工期の短縮や資金計画の確実性において、個別のフルリノベーションよりトータルコストで優れる事例も現実に存在します。