元谷外志雄氏を語る上で欠かせないもう一つの側面が、言論人・オピニオンリーダーとしての顔です。元谷氏は「藤誠志」のペンネームを用いて月刊誌にエッセイを寄稿し、客室に自著を配置していることでも知られています。また、保守系言論人を集めた私塾「勝兵塾」を主宰し、近現代史や安全保障に関する独自の主張を発信し続けてきました。
ネット上や海外メディアでは、過去に客室書籍の内容を巡る騒動が起き、不買運動やボイコットが取り沙汰された時期もありました。一般的には「思想的主張がホテル経営の足かせになるのではないか」という懸念を持たれがちですが、元谷氏の経営戦略における本質は極めて冷徹なリアリズムに基づいています。
実際、騒動が起きた際も元谷氏は一切の撤回を行わず、結果として熱心な国内リピーター層やビジネス利用者の支持を盤石にしました。思想信条を明確に打ち出しつつも、ホテルの利便性・清潔感・ベッドの快適さ・立地の良さといった基本スペックにおいて圧倒的なコストパフォーマンスを提供し続けることで、感情論を凌駕する実利顧客を掴み続けるという、高度な「ブランド選別戦略」が機能しているのです。