こうした破天荒な性格変遷を遂げたネネちゃんですが、将来はどのような大人へと成長するのでしょうか。その公式の答えの一つが、2010年公開の劇場版『名探偵』ならぬ傑作映画『超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』に描かれています。
隕石の衝突によって荒廃した未来都市「ネオヒロロシ」において、大人になった桜田ネネは、ふたば幼稚園の保育士として働いていました。幼少期の夢を叶えて先生になったものの、そこにはかつて憧れた輝かしい姿はありませんでした。上下紫のジャージに身を包み、ノーメイクに近い疲弊した顔立ちで、言うことを聞かない園児たちに対して「静かにしなさい!」とドスの効いた声で怒鳴り散らす、極めて過酷な日常を生きていたのです。
このビターでリアルすぎる将来描写はファンの間で大きな反響を呼びました。しかし同時に、この映画では重要な側面も描かれています。危機に陥った未来のしんのすけを救うため、大人になったかすかべ防衛隊の仲間たちと合流したネネちゃんは、園児用の三輪車に跨がり最前線で敵に立ち向かいます。どれほど現実の荒波に揉まれても、根底にある「仲間を見捨てない義理堅さ」と「圧倒的な勝負強さ」は一切失われていなかったのです。
実際、現在のかすかべ防衛隊におけるネネちゃんの立ち位置は、単なる乱暴者ではありません。優柔不断になりがちな風間くんやパニックに陥るマサオくんを叱咤激励し、ここぞという場面で全員の背中を押す「精神的支柱」として機能しています。しんのすけの予測不可能なボケに唯一対等なツッコミを入れられるのも、彼女の強固なメンタリティがあってこそです。