松方弘樹さんが逝去した際、日本中が注目したのが「遺産相続」の行方でした。全盛期には1本数千万円のギャラを誇り、京都に数億円の豪邸を構え、数千万円クラスのクルーザーを乗り回して巨大マグロを釣り上げていた松方さん。世間は「莫大な遺産を巡って子供たちによる骨肉の争いが起きるのではないか」と色めき立ちました。
しかし、実際に蓋を開けて判明した現実は、世間の下馬評を完全に覆すものでした。「残された遺産はほぼゼロ、むしろ巨額の負債が存在した」という衝撃的な事実です。
松方弘樹というスターは、稼いだ金をプールしておくような人物ではありませんでした。「金は天下の回りもの」「スタッフや後輩に美味いものを食わせてこそスター」という昭和気質を地で行き、バブル崩壊後の不動産価格下落、さらには晩年の闘病生活による莫大な医療費負担が重くのしかかっていました。
仁科亜季子さんとの離婚時に背負った数億円規模の慰謝料と豪邸のローン問題も尾を引いていました。そして松方さんの最期を看取ったのは、20年以上にわたって事実婚関係にあった30歳年下の元女優・山本万里さんでした。戸籍上の妻ではなかった山本さんと、法的な相続権を持つ実子たち。結果として、息子たちや元妻側は、負債を避けるために「相続放棄」の手続きを取らざるを得ない状況へと追い込まれました。
「数億円の遺産を巡る争奪戦」など存在せず、あったのは「昭和の最後の映画スターが残した豪快すぎる散財の爪痕」と、それを静かに清算せざるを得なかった残された家族たちの切ない現実でした。