井手らっきょの妻は、芸能界の表舞台に自ら進み出ることのない一般女性である。しかし、その内面は極めて芯が強く、夫がどれほど浮世離れした行動をとっても決して取り乱さない冷静さと深い愛情を兼ね備えている。芸人の妻として歩んだ道のりは、まさに平坦なものではなかった。
若手時代から中堅に至るまで、収入の乱高下や芸人仲間との終わらない酒盛り、時には周囲をヒヤヒヤさせる私生活のトラブルもあった。それでも彼女が夫の手を離さなかったのは、芸に対してどこまでも純粋で、不器用なまでに人を笑わせることに命を燃やす井手らっきょの根底にある優しさを誰よりも信じていたからに他ならない。派手な贅沢を追わず、夫が思い切り暴れられる土台を整え続けた彼女の生き様は、まさにプロフェッショナルな芸人の伴侶そのものである。