「当時は登校するだけで度胸試しだった」――そう語るのは、1980年代後半に県内の工業高校に通っていた元生徒のA氏(53歳)だ。噂の絶えなかった歴史ある神奈川県立神奈川工業高等学校や、湾岸エリアで異彩を放った神奈川県立磯子工業高等学校など、当時の実業系高校にはそれぞれ独自の「縄張り」と厳格な上下関係が存在していた。
学ランの丈や裏地の刺繍、改造バイクの爆音。過酷な実習作業で鍛え上げられた工業生の肉体は、他校の不良たちからも一目置かれていたという。しかし、噂されるような単なる暴力沙汰ばかりが日常だったわけではない。放課後のガレージで機械修理に没頭し、仲間同士で技術を競い合う職人気質と不良文化が奇妙に同居していたのが、当時のリアルな裏歴史である。