1980年代後半、渋谷センター街や公園通りに現れたチーマーの原点は、意外にも裕福な家庭に育った有名私立校の中高生や大学生たちだった。彼らは元々、ダンスやスケートボード、あるいはサーフィンといった共通の趣味を媒介にしてグループ(チーム)を結成。海外のクラブカルチャーや洗練された音楽に傾倒するスタイリッシュな集団としてスタートしている。
しかし、時代が90年代へと突き進むにつれ、その性質は急激に変質を遂げた。異質なグループ同士の対立や縄張り争いが過熱し、ストリートでの喧嘩や縄張り主張が激化。結果として、かつての洗練された若者コミュニティは、暴力と恐怖で街を支配する武力勢力へと豹変していったのだ。
当時の混乱ぶりを如実に物語るのが、治安維持に追われた渋谷センター街商店街振興組合の動きである。連日連夜繰り広げられる集団の小競り合いや落書き、通行人とのトラブルに対し、商店街側は警備体制の強化や警察との密接な連携を余儀なくされた。オシャレな若者の街という渋谷のイメージの裏で、センター街は一触即発の緊張感が漂う「無法地帯」の側面を強めていったのである。