横手山・渋峠スキー場を訪れるスキーヤー・スノーボーダーにとって、滑走と同じくらい欠かせない目的が山頂に佇む「横手山頂ヒュッテ」での食事だ。「日本一高い場所にあるパン屋」として長年メディアでも注目を集めるこの山小屋には、連日開店直後から香ばしい小麦の香りが漂う。
看板メニューである熱々の「ボルシチ」と、こんがり焼き上がった手作りパンのセットは、極寒のゲレンデで冷え切った身体の芯まで染み渡る滋味深い味わいだ。厳選された素材を使い、富士山よりも気圧の低い特殊な環境下で絶妙な発酵コントロールを行って焼き上げられる限定パンは、午前中のうちに売り切れてしまうことも多い。冬季は国道292号(志賀草津高原ルート)が雪で閉鎖されるため、この味に出会えるのはリフトや雪上車を乗り継いで辿り着いた者だけに許された特別な特権となっている。