心臓が力強く収縮して全身に血液を送り出す際の圧力が「上の血圧(収縮期血圧)」であり、血液を溜め込むために心臓が拡張した際の圧力が「下の血圧(拡張期血圧)」です。心臓が休んでいるはずの拡張期に圧力が下がらないという現象は、血液が通り抜ける末梢血管が細く縮こまり、強い抵抗が生じている事態を直接物語っています。
大動脈のような太い血管に十分なしなやかさがある20代から40代では、心臓が押し出した血液の衝撃を血管壁が吸収できるため、上の血圧は高くなりません。しかし、毛細血管に近い細い動脈が慢性的に緊張していると、心臓拡張時にも血液の抜け道が狭いままとなり、結果として拡張期血圧基準値である85mmHg(家庭血圧では80mmHg)を容易に突破してしまいます。
この血行動態の歪みこそが、上の数値が平常値にとどまりながら下の数値だけが突出するメカニズムです。「上が正常だから健康そのもの」という認識は完全な誤信であり、実際には細動脈レベルでの負荷が着実に蓄積しています。