日本のフットウェア産業において圧倒的なシェアを誇る株式会社エービーシー・マート。その店頭で確固たるポジションを築いているのがSTEFANO ROSSI(ステファノロッシ)だ。イタリアンクラシコを思わせるヨーロッパ調のネーミングを持ちながら、実際は同社が企画・開発を手掛けるプライベートブランド(PB)である。この「舶来ブランドのような佇まいと実用的なPB」という二面性こそが、評価の二極化を生む最大の要因となっている。
企画から製造、販売までを一貫して手掛けることで、中間マージンを極限まで削ぎ落とした価格破壊を実現した。本革仕様のシューズが1万円前後のプライスタグで並ぶ光景は、消費者にとって救世主のような存在だ。しかし、ブランドの歴史や職人の手仕事といったストーリー性を重視する愛好家からは、「ブランドイメージを模倣した量産品」として軽視されがちになる。認知度の高さゆえに「あ、ABCマートの靴だな」と一目で気付かれてしまう大衆性も、個性を重んじる層から距離を置かれる理由の一つだ。