日本の金物産業を牽引する貝印株式会社と、ユニバーサルデザインの旗手として世界中で支持されるOXO。名だたる調理器具製造業が繰り広げる開発競争は、細部のギミックに色濃く反映されている。刃物づくりで培った金属加工技術を誇る国産ブランドは、注ぎ口のキレや種の混入を防ぐスリットの幅をミリ単位で追い込み、日本人の繊細な手肌に吸い付くようなフィット感を実現した。
一方の海外勢は、人間工学に基づいたエラストマー素材のグリップや、レモンを逆さまにセットして果皮のオイルを果汁と一緒に飛ばさない逆転発想のプレス機構で対抗する。多様なキッチングッズが並ぶ現代のキッチンにおいて、単なる作業の道具を超え、使う所作そのものを心地よく変えるインターフェースの革新が繰り広げられているのだ。