日本の伝統的な和風月名(わふうげつめい)において、9月を指す言葉が「長月」です。読み方は一般的に「ながつき」ですが、古文書や詩歌の世界では「ながづき」と濁音で読まれることもあります。
現代に生きる私たちがカレンダーの「9月=長月」を見たとき、最初に生じやすい違和感が「実際の気候とのギャップ」です。近年の日本では9月上旬から中旬にかけて30度を超える真夏日が続くことも珍しくありませんが、本来の長月はどのような季節感を指していたのでしょうか。
太陰太陽暦(旧暦)における季節区分では、1年を4つの季節に分け、さらに各季節を3ヶ月ずつ細分化していました。
- 初秋(しょしゅう):旧暦7月(文月)
- 仲秋(ちゅうしゅう):旧暦8月(葉月)
- 晩秋(ばんしゅう):旧暦9月(長月)
旧暦の月日は現在の太陽暦(新暦)と比べて約1ヶ月から1ヶ月半ほどの遅れが生じます。つまり、旧暦の長月は現在の9月下旬から11月上旬頃の時期に相当します。木々が色づき、朝晩の冷え込みが厳しくなって冬の足音が近づく「晩秋」の情景こそが、長月という言葉が本来まとっていた空気感なのです。