高校教員の世界を論じるうえで避けて通れないのが、公立と私立における構造的な賃金格差です。公立高校教員給与は都道府県の条例に基づき、地方公務員の「教育職俸給表」に沿って年功序列で着実に昇給していきます。自治体の財政力による地域手当の差(東京都心部で基本給の20%、地方では0〜数%)はあるものの、身分が完全に保障され、景気後退期でも給与が急落するリスクはありません。
対照的に私立高校は、設置母体である学校法人の財務体力によって給与体系が完全に二極化しています。首都圏や近畿圏の伝統ある難関進学校や名門大学附属校では、潤沢な学費収入や寄付金を背景に40代で年収900万〜1,000万円を超えるケースが実在します。独自の賞与加算や扶養手当、手厚い退職金制度が用意されているトップ校は、公立トップ校の教諭を凌駕する高待遇を誇ります。
その一方で、少子化の直撃を受けて定員割れに喘ぐ地方の新興私立や単科高校では、40代になっても年収450万〜500万円前後で昇給が頭打ちになる例が散見されます。さらに「専任教諭」の採用を絞り、低賃金の「常勤講師(有期雇用)」やコマ給のみで働く「非常勤講師」を多用して人件費を圧縮する法人が増えており、私立内部における待遇の分断は年々深刻さを増しています。