猛毒によって肉体が急速に溶け落ちていく童磨でしたが、上弦の弐たる生命力は凄まじく、首の骨自体は依然として頑強でした。ここで「童磨の首を切った人物」として歴史に名を刻んだのが、栗花落カナヲと嘴平伊之助の2人です。
カナヲはしのぶから事前に毒の作戦を聞かされており、毒が回るまで童磨を足止めする過酷な任務を託されていました。毒の発動を見届けると、失明のリスクを伴う花の呼吸の奥義「終ノ型・彼岸朱眼(ひがんしゅがん)」を躊躇なく発動。動体視力を極限まで高めて童磨の間合いに踏み込み、日輪刀をその頸に食い込ませます。
しかし、毒で弱体化しているとはいえ、上弦の首は容易には断ち切れません。刃が止まりかけた絶体絶命の瞬間、加勢に入ったのが伊之助でした。伊之助は己の二刀を投げつける「獣の呼吸・思いつきの投げ裂き」を敢行。カナヲの日輪刀の背を力任せに打ち据え、強引に刃を押し通すことで、ついに童磨の首を胴体から切り離しました。
この一撃は、単なる戦闘の連携ではありませんでした。かつて感情を失っていたカナヲが「自分の心」で仲間を想って放った一撃であり、山で獣として育った伊之助が「人の温もり」を取り戻して放った魂の刃でした。理不尽に命を奪われた者たちの意志が、完璧な形で結実した瞬間でした。